歴史的大事件の目撃者ウーグリチ


「曲がり角の町」を意味するウーグリチは、ヴォルガ川がほぼ90度に大きく蛇行する地点に位置しています。何よりウーグリチを有名にしているのは、16世紀に起こったイワン雷帝の末子ドミトリー皇子の暗殺事件でしょう。ロシアの動乱時代の幕開けを告げる歴史的大事件で、この事件にゆかりの建築が今も観光の目玉となっています。

クレムリン
10世紀に築かれたとされる、ウーグリチの最も古い部分がクレムリンです。
クレムリンの中心は、ドミトリー皇子が暗殺されたまさにその場所に築かれた「血の上の」ドミトリー教会。現在の建物は1692年の建築で、悲劇を思い起こさせる深紅の色に塗られています。
1591年5月28日、当時9歳のドミトリー皇子は首をかき切られて殺害されました。この事件の真相は謎に包まれていますが、皇位を狙ったボリス・ゴドゥノフが差し向けた刺客の仕業とするのが定説です。ドミトリー皇子の死より800年近く続いたリュ―リク王朝が断絶しましたが、「ドミトリーは生き延びている」という民衆の信仰に乗じ、外国勢力の後ろ盾を得た「にせ」ドミトリーが何度も現れ、ロシアは動乱の時代に突入しました。
教会本堂内部には、ドミトリー皇子の生涯にテーマをとったフレスコ画が見事に保存されています。また、2つの記念碑、皇子の亡骸をモスクワに運んだ棺と、皇子の暗殺を街中に知らせたためにシベリア送りになった鐘が展示されています。
隣に立つのは15世紀の皇領宮殿で、屋根近くの外壁に美しいレンガの装飾が見られます。ドミトリー皇子もここに7年間住んだと言われています。
もう一つの教会、スパソ・プレオブラジェンスキー聖堂には美しいフレスコ画とイコノスタスが保存されています。
19世紀初頭の建築となる旧市議会は、クレムリンの博物館の本部として利用されています。

ウーグリチの歩き方
ウーグリチは小さな町で、観光は全て徒歩で足ります。街の中心はウスペンスカヤ広場で、ここからクレムリンにいたる道や、メインストリートのヤロスラフスカヤ通りなどが放射状に延びています。見どころとなる教会やホテル、バスターミナルなども、このヤロスラフスカヤ通り沿いにはほぼ集中しています。また、のどかなヴォルガ川河岸の道も是非散策してみてはいかがでしょうか。








ロシアエクスプレス
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