ロシアを訪れたら一度はメトロに乗ってみたほうがいいです。特にモスクワのメトロは東京と同じくらい発達しているので、モスクワでの移動手段はとにかくメトロでしょう。東京のメトロとモスクワのメトロの違いはいろいろあります。まず駅自体がたいへん美しく凝っています。ホームにいるだけでまるで美術館か博物館にでもいるような錯覚に陥ります。メトロのエスカレーターも東京のそれらとは違います。エスカレーターの速度が3倍ほど速いので、慣れるまでうまく乗れなかったりしますが、これは1日もすればその速度に慣れるので、帰国したときには東京のエスカレーターがむしろのろのろで少しいらいらしてしまうほどです。最大の違いはアナウンスかもしれません。ロシアでは、「お気をつけください、ドアが閉まります。次の駅は○×です」と、前の駅を出るさいのドアがしまったときに次の駅名がアナウンスされるので、駅名を耳にして「降り損ねた!」などと慌てる必要は全くありません。また、混雑している車内でドア付近に立っていると、他の乗客に「何か」話しかけられます。「何か」とは何か。じつは「(次の駅で)あなたは降りますか?」と訊かれているのです。もしあなたが、その人同様、次の駅で降りるのであれば「ダー(はい)」と答えてあげれば、次の駅で一緒に降りればいいだけのはなしです。もしあなたが降りないのであれば、「ニエット(いいえ)」と答えてから、「何か」を訊いてきたその人と立ち位置を変わってあげるか、次の駅で道をあけてあげてください。
というわけで、このようにロシアではこうして知らない人同士でもコミュニケーションを取り合う習慣が意外と残っているのです。