でも、ロシアに行ったら、一度くらいお芝居を見ませんか?
言葉が分からないから見ても理解できない!
...確かにそうかもしれません。
でもガイドさんに少しだけでも内容を聞いて、(あるいは有名なチェーホフが書いたものなら前もって読んでおくとか)、ぜひ劇場を覗いてみてください。そこには、言葉を超えた「人間の表現の力」があるんです。
実はアメリカ映画の名優たちは、みんなロシアの演技術(スタニスラフスキー・システムと言います)で、演技の勉強をしているのです。アメリカだけでなく、イギリス王立演劇アカデミーでもやはりこの演技術を基礎に俳優は学び、育っています。一言で言うと、演じているのではなく、本当にそこに「その人」が生きてるような、そんなリアルな演技の仕方なのです。
モスクワなら演技術(スタニスラフスキー・システム)の生みの親、スタニスラフスキーが創立したモスクワ芸術座または老舗のマールイ劇場がお勧めです。この2つの劇場は伝統的なロシア演技術を見事に保存しています。
サンクトペテルブルグなら、何と言ってもペテルブルク・マールイ・ドラマ劇場でしょう。ヨーロッパ屈指の人気劇場です。
ロシア人は若者でも、月に平均1回くらいは芝居を見るほど芝居好きです。ソ連時代はほかに娯楽がないからだ、なんて言われていましたが、ソ連が崩壊して、今や全く西側諸国と変わらない様々な「娯楽」が街に溢れていますが、それでも劇場は満員。ロシアへ行ったら、劇場へともかく足を運んでみてください。そこでロシア人の持つ深い文化の一端が感じられるはずです。
ギリシャ悲劇以来、人間が2500年にもわたって維持してきた演劇技術の原点に触れてみましょう。