バイカル湖の四季


バイカル湖の春は6月に入ってようやく訪れます。湖畔の山には、イソツツジ(モンゴルシャクナゲ)の紫の花が咲き誇り、カラマツの森も新緑で輝き始めます。しかし、表面水温は-2度から+1度くらいと冷たく、湖の北部にはまだ氷が残っています。7月頃からは表面水温が+4度まであがり、霧に覆われた幻想的な世界になります。

春秋の氷結しない時期には、湖面の水温が高く、その一帯の大気の冷却を妨げます。そのため、湖岸の狭い低地を含めた湖全体が一種のヒートアイランドを形成し、湖から約70km近く離れたイルクーツクより気温が10度以上高いこともあります。

8月に入ると、サルマと呼ばれる激しい嵐が訪れます。これは特異な湖盆携帯が引き起こすもので、最大風速40mの北西風が吹きます。風下では5mもの高波を引き起こし、湖が揺れ動くかのように岸辺に襲い掛かります。この頃には表面水温が9~12度となり、岸辺では20度を超えることもあります。僅かな時期ではありますが、湖水浴も可能です。

9月に入ると、シラカバの紅葉が始まり、下旬になればタイガの森に霜が降り始めますが、バイカル湖は水温の影響で暖かさを保ち続けます。10月に入ると落葉が始まり、冬の訪れを感じることができます。初雪が降るのもこの頃です。しかし、バイカル湖が完全に閉ざされるまでにはまだ時間があり、タイガの森が-40度で凍結しても、湖面の凍結はまだ始まりません。結氷は1月に入ってから。ひとたび凍り始めるとそれからは早く、あっという間に暑さ1m以上の氷に覆われてしまいます。もはや、湖面を眺めるのは川の流れがある部分のみとなります。こうして5月までは氷に閉ざされた世界が広がるのです。








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