スターリングラード~今は存在しない場所へ。


モスクワから飛行機で1時間半、電車だと寝台列車で約半日のところに”ヴォルガの町"の名の通り、ヴォルガ川に沿ってその町はあります。もともと交通の要衝だったこの地域を守るために砦が築かれたところから通商の街として栄えはじめ、1925年から1961年まではソビエトの独裁者として有名なスターリンの名を冠して”スターリングラード”と名づけられました。ここまでくれば世界史を少し齧った方ならお分かりでしょう。この地域は工業都市として栄えていたため、独ソ戦で重要なターゲットとなり、両軍の死闘が半年も続きおびただしい数の死者・負傷者出しましたが、なんとかドイツの猛攻を防ぎ切り、独ソ戦の転換点となった場所でもあります。

その後、名前をヴォルゴグラードと改称した後、急速に復興が進み、今では過去の惨事が嘘のようにのどかな町になっています。ロシア国内で市名復活を求める署名活動が行われるなどの動きもあり、スターリングラード攻防戦終結70周年にあたる2013年に、8月23日のスターリングラード攻防戦開始日、2月2日のスターリングラード攻防戦終結日、5月9日のヨーロッパ戦勝記念日、9月2日の対日戦勝記念日、6月22日のバルバロッサ作戦開始日、11月19日のウラヌス作戦開始日などの記念日に限り、町の名前をスターリングラードに戻すことが決まりました。

この町は川に沿って細長く延びた町ではありますが、中心部は意外とコンパクトで、大通りにはトラムが走っており、移動も楽です。レーニン大通りからポプラ並木の道を抜けると小銃と手りゅう弾を持った像が小さな池の中に立ち、ここを抜けると戦没者慰霊堂があります。中には英霊の名前がびっしりと書かれ、中央には不滅の火が燃え続けている。毎時55分には中で衛兵の交代式があるので合わせて行きたいところです。町の最大の見所である”ママエフの丘”には巨大な剣を掲げた高さ約80mの「母なる祖国像」が立ち、今はのどかな町並みを見下ろしています。博物館は案内がロシア語のみ、というところもあるので注意しましょう。

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